糖尿病とは、いくつかの遺伝素因と、生活習慣(運動不足、過食、高脂肪食)などの環境要因が重なって、血糖を下げるインスリンというホルモンの作用が足りなくなるために、高血糖が持続するものです。
血糖高値が続くと、血管が障害されて、特有の細小血管症(腎症、網膜症、神経症)を生じます。大きな血管が障害されて、動脈硬化も促進され、狭心症、心筋梗塞、脳卒中、閉塞性動脈硬化症などにつながります。
糖尿病患者の数は、この30年間で30倍以上に増加し、現在では700万人以上に達すると推定されています。
糖尿病の合併症によって、失明したり、透析になったりして、生活の質(QOL)が著しく損なわれる方が急増しています。
糖尿病合併症の発症、進展は血糖のコントロールによって左右されます。
よりよい血糖コントロールを達成するためにもその人の病態にあった治療を行わなければいけません。
個々の糖尿病患者さんで、遺伝素因と環境要因、インスリン分泌不全とインスリン抵抗性という2つの観点から、病態を評価し、治療するようにします。
糖尿病には2つのタイプがあります
1型と2型です。
1型糖尿病は、インスリンが分泌が絶対的に足りないものです。
遺伝的に生じ、若いときから発症します。
インスリンを分泌する、膵β細胞が破壊されることが原因としてあり、自己抗体(膵島細胞抗体、抗GAD抗体など)の存在で、1型糖尿病と診断されます。
1型糖尿病の患者さんでは、インスリンが分泌されていませんので、治療にはインスリンが必ず必要となります。
2型糖尿病は、糖尿病の方の95%占めるものです。
こちらはカロリー過剰、運動不足、などの生活習慣によって生じるものです。
インスリンが効きにくい(インスリン抵抗性)のが原因です。
治療には、生活習慣是正、運動療法が効果があります。
診断基準は、血糖のページをご覧下さい。
糖尿病と診断された方は、網膜症、腎症、神経症、動脈硬化症などの合併症の評価が必要です。
特に、糖尿病性網膜症のある方が、急激に血糖を下げたり、激しい運動療法をすると、眼底出血から失明することがあり、きちんと眼科で評価する必要があります。
糖尿病の他に喫煙、高血圧、高脂血症など、動脈硬化の危険因子を多くもつ方は、狭心症の可能性が高くなります。
糖尿病の方は、狭心症があっても、胸が痛みのない場合があります。無痛性狭心症といいます。
動脈硬化で、心臓を栄養する冠動脈に狭窄があるにもかかわらず、特有の胸の痛みが出ないのです。
胸が痛くないからそのままでいい、というわけではありません。
放置していると、心不全で息が苦しくなったり、ある日突然心筋梗塞になってしまう危険があります。
動脈硬化の危険因子が多い方は、提起的な検査が必須です。
医師の指示で、運動負荷試験や心エコー、必要であれば心筋シンチ、マルチスライスCT、カテーテル検査などをお受け下さい。
治療はどうするの?
糖尿病治療の基本は、全身の細胞でのインスリンというホルモンの作用不足による代謝異常を改善することです。
糖尿病は、基本的に慢性に経過していく病気で、患者さん自身による病気の管理が、その後、病気無くすごせるかどうかを大きく左右することになります。
食事療法、運動療法、自己血糖測定や適切な薬物治療をしっかりと守ることが大切です。
糖尿病は普段の食生活の改善が治療の一つですので、食事を作る人の協力など、患者さんを取り巻く環境を整えることが不可欠です。
患者さん自身も十分な知識を持つことで、血糖のコントロールがよくなるという報告もありますので、このサイトの情報も活用していただきたいと思います。
【A】生活習慣の是正
1:食事療法
糖尿病の食事療法は、糖尿病を治す、特別食をとる、ということではありません。
「過食を避け、偏食をせず、毎日規則正しい食事をする」ということです。
糖尿病になっている方は、食生活が大変乱れていると思います。
規則正しく、3食、間食をしない、カロリーを減らす、を守るだけで随分改善すると思います。
食事療法の原則は、次の2点です。
第一に、太りすぎず、やせすぎず、適正な体重を保ちながら、必要な量の食事をして、余分には食べ過ぎないようにすることです。適正な食事の量は、年齢や標準体重、活動量によってひとりひとり異なりますので、医師に定められたカロリーを守ることが必要になります。
第二には、健康を保つために必要な栄養素や食物繊維がかたよったりしない、バランスのよい食事をとることです。
糖尿病になられた方の食事療法は、医師に適正なカロリーを処方してもらって、栄養士の先生に食事療法の指導を受けることが必要です。ご家族の教育も必要になります。
標準体重×身体活動量で必要なカロリーを算出します。標準体重1kgあたり、25kcal で十分なことが多いですが、人それぞれで体重の推移などでも適宜再検討が必要となります。
全てを独学でやるのは、かなり大変ですので、かかりつけ医を決め、定期的に通っていただくことが必要です。
その上での疑問点、頻繁に通院できず、ちょっとアドバイスをもらいたい、という方は、当サイトでもご相談に乗れますので、医師メールコンサルトのサービス・サポートからご相談下さい。
2:運動療法
運動療法によって、血糖を適正な範囲にし、病気の発生を予防するのに効果がある、という研究があります。
インスリンの働き具合(感受性)が改善するという報告があります。
このように、運動療法は、糖尿病の治療のうえで、とても大切なものです。
ただし、運動を始める前に、狭心症や眼底出血など、深刻な合併症がないかどうか、確認する必要があります。
医師の指導により、運動の度合いを決めるようにしましょう。
運動時に消費されるエネルギーは、始めの10分くらいまでは筋肉中のグリコーゲンが利用され、15分~20分くらいから、脂肪が利用されはじめます。
ですので、一回の運動時間としては少なくとも15分以上での継続が必要となります。
運動は毎日動くようにすることが望ましいですが、運動による、インスリン感受性の改善の効果は、2~3日続きますので、必ずしも毎日でなくても大丈夫です。
ご自分の生活の中で、無理のないようにすることが、継続するコツです。
【B】薬物療法
1:インスリン分泌促進薬(SU剤)
オイグルコン、アマリール、ファスティック、スターシスといった薬です。
血糖を下げるホルモン、インスリンの分泌を促します。
2:グルコース吸収遅延薬(α-GI)
グルコバイ、ベイスンといった薬です。
この種類の薬は、糖質の消化・吸収を遅らせ、血糖上昇とインスリン分泌のタイミングを合わせることで、食後血糖の上昇を抑制します。
3:インスリン抵抗性改善薬(チアゾリジン系やビグアナイド系)
アクトス、メルビンといった薬です。
インスリンが効きにくい体質を改善する働きがあります。
肥満の糖尿病の方にいい適応となります。
もっと詳しく知りたい方は、医師メールコンサルトのサービス・サポートからご相談下さい。
参考文献
糖尿病食事療法のための食品交換表 日本糖尿病学会編