血糖について考えて行きましょう。
われわれは食事をしてエネルギーを得ています。どのようにエネルギーが作られているか、知っていますか?
食事をすると、食物中の糖質が分解されてブドウ糖になります。ブドウ糖は、グルコースとも言います。同じ意味です。
血糖とは、血液中のブドウ糖濃度のことです。
100mlの血液のなかに、0.1gぐらいの糖分があるのが正常範囲です。0.2g がずっと続いてしまうと糖糖尿病となり、糖分が全身の血管に悪さをして、動脈硬化を起こしてしまいます。
正常の体では、血液中の糖分が高くなりすぎないよう、また、低くなりすぎないよう、さまざまな調節機構が働いています。
糖尿病とは何か、わかりやすくするために、血糖の調節について少しお話します。
体に取り込まれた糖分が、体に取り込まれていく過程を糖の代謝といいます。
われわれが食事をすると、消化管から糖分が血中に入ります。食後は血中の糖分は誰でも高くなります。血中の糖分は、次第に体の細胞内に取り込まれていきます。ここで働くのがインスリンというホルモンです。インスリンのはたらきで、血中の糖分が細胞内に取り込まれ、血中の糖分は低下します。細胞では糖分は酵素によって代謝されていき、エネルギーが生み出されます。
糖尿病の方は、糖分を細胞に取り込むはたらきをするインスリンが足りないか、インスリンの働きが低下しているために、血中からなかなか細胞内に糖分が取り込まれず、血糖が高くなってしまうのです。
次に、測定の仕方をお話します。
健診では、前日の夜9時以降は何も食べず、当日朝食は抜いて来るように言われます。
食事をしなくても、飴をなめたり、糖分を含んだジュースを飲んだりすると、血糖は簡単に高値になります。また、前日多量のアルコールを飲んでいたりすると、血糖に影響が出ることも少なくありません。
空腹時血糖は、食事から10~14時間程度、空腹にした後、測定するようにしましょう。
血糖の見方
それでは、血糖の値の見方を解説します。
| 正常域 | 糖尿病域 | |
|---|---|---|
| 空腹時 2時間値 |
<110 <140 |
≧126 ≧200 |
| 75gブドウ糖 負荷試験 の判定 |
両者を共に満たす者を正常型とする。 | 何れかを満たす者を糖尿病型とする。 |
| 正常型にも糖尿病型にも属さない者を境界型とする。 | ||
血糖が空腹時で 110mg/dl を超えない場合、正常です。
空腹時血糖が 126mg/dl を超えると糖尿病型高血糖と呼ばれます。
「糖尿病型」とは、糖尿病ではありませんが、糖尿病の疑いがあります。
糖尿病型の方は、空腹時血糖を再検査し、HbA1c(後述)を調べます。
再検査をして2回目も 126mg/dl を超えてしまった場合は、糖尿病と診断されます。
空腹時血糖が 110から125mg/dl の方はグレーゾーン、境界型です。
境界型の人は、糖尿病の可能性があります。
糖負荷試験という試験で糖尿病かどうか、精査します。
糖負荷試験とは、空腹の状態で 75gのブドウ糖を飲んでいただき、1時間後、2時間後で採血をし、糖が血中からなくなり具合(糖の代謝)を調べるものです。
2時間後に 140mg/dl であれば、正常です。200mg以上だと、糖尿病の診断となります。
140~199の方は、境界型です。時期をおいて、再度調べます。
その間、食事のカロリーを控え、運動を積極的に行うようにしましょう。
HbA1c
次に、HbA1c の解説をします。
ヘモグロビンエーワンシーと呼びます。
これはいったい何でしょうか?
HbA1c とは、ブドウ糖と結びついたヘモグロビン(血色素)です。
ヘモグロビンとは赤血球の成分のひとつです。
赤血球の寿命は120日間で、生まれてから壊される120日間までの間に、糖が結合します。
糖との結びつきは、その期間の血糖の濃度によって決まります。
ずっと血糖が高い方は、HbA1c も高くなります。
HbA1c は、採血からさかのぼって過去1~2ヶ月の血糖の平均と一致することが示されています。
過去1~2ヶ月の血糖を反映するのです。
血糖が一回一回のテストだとしたら、HbA1c は学期間の通信簿といえますね。
瞬間、瞬間の血糖は、食事の関係で高くなります。
その場合、HbA1c を見ることで、ずっと血糖が高かったかどうか、知ることができるのです。
HbA1c の見方
HbA1cの正常値は、5.8% 以下です。
糖尿病型高血糖で、HbA1c が 6.5% 以上なら、それだけで糖尿病と診断されます。
糖尿病で薬やインスリンで治療中の方は、HbA1c はコントロールの指標となります。
自宅での糖尿病の判定の仕方
最後に、自宅採血キットで自分で糖尿病の判定をする方法を解説します。
自宅で糖負荷試験を行うのはなかなか難しいと思います。
空腹時血糖と、HbA1c から診断するのがいいでしょう。
健診では、まず早朝空腹時の血糖を調べ、糖尿病の有無を調べる施設が多いです。
自宅で糖尿病かどうか調べるときも、まず空腹時血糖を調べてください。
前日夜9時以降は何も食べず、翌朝も糖分を摂る前に指先採血をします。
ここで、110mg/dl を超えない方は正常と判断していいです。
126mg/dl 以上の方は、次の項目をチェックして下さい。
1)糖尿病の典型的症状(口渇、多飲、多尿、体重減少)はありますか?
ある場合は、そこで糖尿病と診断がつきます。
症状のない方は、HbA1c の項目が入ったキットで再度空腹時採血をしてみましょう。
再度126mg/dl 以上だったり、HbA1c 6.5% 以上だったりした場合は、糖尿病です。
空腹時血糖 110~125mg/dl、HbA1c が5.8~6.4% の方は糖尿病といえなくても、少なくとも糖尿病の疑いがあります。
この方は、食事のカロリーを減らし、運動を多くして、3ヵ月後に再度 HbA1c 付きのキットで採血して下さい。
血糖が高値だった方は、糖尿病をご覧下さい。
低血糖
最後に、血糖が低かったときのことを簡単にご説明します。
血糖値が生理的変動の範囲以下(一般的には50mg/dl以下)となったものを、低血糖症と呼びます。
低血糖症により、種々の症状・徴候が出現してきます。ですので、無自覚で普通に過ごされている方が、健診で低血糖症と診断されることは少ないと思われます。
本症の原因としては、経口血糖降下薬やインスリン製剤によって、必要以上に下がってしまうのが、最も多いです。
他の原因疾患としてはインスリノーマというインスリンを産生する腫瘍や、インスリン量を調節する下垂体ホルモンの異常、インスリン自己免疫症候群などの内分泌疾患、ダンピング症候群、肝疾患などがあります。
低血糖症の症状は、発汗、振戦、動悸、不安感などの自律神経失調の症状と、眠気、めまい、疲労感、重篤な場合には意識消失がみられる中枢神経の症状があります。
低血糖を数回経験すると、自律神経症状に慣れてしまって、自律神経症状が出なくなり、突然に中枢神経症状を呈する場合があります(無自覚性低血糖)。
低血糖であれば、とりあえずの処置として、経口なり、点滴なりで、ブドウ糖を補います。糖分を補給すると、速やかに症状が消失します。
低血糖が続く場合は、原因の精密検査が必要です。
血糖は以上です。尿酸へお進み下さい。
参考文献
糖尿病42(5):385~404、1999